寺田寅彦 / 中谷宇吉郎「どんぐり」
京都の善行堂さんより届いた「どんぐり」を読む。善行堂さんの山本善行氏が選んだ作品 本のともしび シリーズの第一巻。
寺田寅彦の「どんぐり」「コーヒーと哲学序説」
中谷宇吉郎「「団栗」のことなど」
の三篇がおさめられている。寺田寅彦の「どんぐり」は以前に読んだことがあってとても印象に残っていて好きな作品。しかし、今回あらためて読んでみると自分が印象に残っていたのは子供のシーンが主だったことに気がついた。その前の奥さんとの日々が抜けていて今回読んでいくとそちらの方がたくさん描かれている。胸を病んでいた妻と植物園に出かける話。出かける時に髪を直すのに時間がかかってべそをかいている奥さんが可愛く愛おしい。
植物園でハンカチいっぱいにどんぐりを拾う姿。今回はそんな風景が自分の中に浮かんで数年後の幼い娘さんがどんぐりを拾うところを読んでいると鮮やかに立ち上がる。
小さな小品「コーヒーと哲学序説」を挟んで中谷宇吉郎の「「団栗」のことなど」に続いていく。こちら初めて読んだかもしれない。中谷宇吉郎と言えば冬になると「雪」を読み始め、途中で春になってしまいそのままにしてしまう(汗)
この「「団栗」のことなど」は寺田寅彦の「どんぐり」と言う作品について、その当時の寺田の心境、状況が描かれている。「どんぐり」と言う作品を読んだ後にこの作品を読んでもうどうしようもなく涙が溢れて来てしまった。奥さんが「結核」と言う病だったが為に離れ離れで暮らすことになってしまったふたり。 もちろんこの二人とは全然違うけれどこのコロナ禍の中で会いたい人に会えないと言う状態がどんなに多くの人にとって辛いものなのかという事にも思いを馳せる。
そのまま山本さんの撰者あとがき読む。思いのこもった丁寧な文章。
この二作品を一冊の中で読めることの素晴らしさを感じた。
装丁も素晴らしい。橙色とローソク、本に灯った明かり。次の巻が楽しみで待ち遠しい。
夕方スーパーに行ったら混んでいた。お惣菜コーナーに人がたくさんいて、見るとお寿司のコーナーだった。それで今日が桃の節句だと気づく。すっかり忘れていた。お雛様も出していなかった、ごめんねと押し入れにいるお雛様に謝る。
ちらし寿司をカゴに入れ、蛤をカゴに入れる。気持ちだけでも桃の節句で春を感じる。
夕飯はこの
ちらし寿司
蛤のお吸い物
鯛のムニエル生姜マヨソース
ブロッコリーエビ舞茸のオイスター炒め(ちょっとずつ残っていた材料で)
*映画
*読了本
*読んでいた本
モンキーVol.23 SPRING2021