トルーマン・カポーティ「ここから世界が始まる」
ずっと迷っていたカルチャーセンターの講座を受けることにした。オンラインで都甲孝治先生の「1年で学ぶ教養 文庫で味わうアメリカ文学」ラインナップも素晴らしく全てが文庫本になっている作品。迷っているうちに「ガラスの動物園」「郵便局」「最後の瞬間のすごく大きな変化」は逃してしまったが。そして今月はカポーティの「ここから世界が始まる」が課題作品だった。
とても充実して楽しかった。これからの課題作品も読んで無いものが多いので頑張って読みたいと思う。
Instagramに載せた感想
トルーマン・カポーティ「ここから世界が始まる」
カポーティの思春期から青年期にかけて書いた十四篇の短篇小説集。十代で書かれた作品もあってこんな若さでこれだけバラエティに富んだ作品を描ける事にまずは驚く。しかも全て私小説的な部分が全く無い。描かれる人物も子供から老人まで様々だ。ただ、多くの作品がどこか真っ当な世界から少しずれてしまった人や(じゃあ真っ当ってなんだ?真っ当なんてあるのか?って思うけれど)どこか孤独を抱えている人が主人公である。
これはうまく納めすぎてるんじゃないかと思ってしまう「分かれる道」やミステリー?と言うかある意味コメディ?な「似た者同士」などもあるが多くの作品で痛い部分を突かれたり、覆い隠していた自分の中の哀愁が引っ張り出されたり。
好きな作品「これはジェイミーに」「ここから世界が始まる」特に好きなのは「水車場の店」水車場の売店の女性が蛇に噛まれたある女の子を助ける話だけれどこの女性に惹かれる。彼女の出立ちや、彼女の過去や(想像してしまう)彼女の行動力に。
最後の文章がものすごく好きだ。引用したいけどもしこれから読む人がいたら勿体ないので引用しない。
編集後記、作品解題 カポーティ略伝 小川高義さんによる訳者あとがき 村上春樹による解説 と、作品以外もとても読み応えがある。