安岡章太郎「海辺の光景」
4時に起床。ベットの中でnoteのフズクエの阿久津さんの読書日記を購入して読む。パウリーナ・フローレンス「恥さらし」をずっと読まれていて早く自分も読みたくなってしまう。白水社のエクス・リプリスでは「恥さらし」と「忘却についての一般論」がベンチ入りしていて早く読みたい。
安岡章太郎の「海辺の光景」を読み終わる。この間本棚で見つけた旺文社文庫。これは積読本ではなくて確か10代で読んだはず。10代の頃は積読本なんてなかった。少ない小遣いで少しずつ文庫本を買っていた。とうの昔に亡くなってしまった旺文社文庫、うちにも多分数冊しかないんじゃないかな。そして昔の文庫本はとにかく文字が小さい。読むのに苦労しました。
なんか久々に純文学読んだーって思った。自分の中にある純文学のイメージとはこういう感じかもしれない。そしてこの小説を10代の自分が読んだのがなんとなく信じられない。ひと頃安岡章太郎の小説をまたまた読んでいたという記憶はあるけれど内容は薄ぼんやりとしか思い出せない。それを何十年かぶりに読んだ事になる。今回読んでみても面白かったけれど彼をどんな風に捉えて良いのか正直分からなかったりする。自分が置かれている現状を考えれば10代の頃よりも主人公に近い(親の高齢化など)と思うけれど。そして今は健常である親の行先を思うとしんどくなったしまったりする。
けれど作品として見てみれば自分のそういう事情とは切り離され、ひとつの戦後の家族の姿が描かれ時代によるものも色濃くこの作品に表されている。
印象に残ったシーン、戦後、主人公と母親が過ごした平和な時間、父親が復員してからの生活で養鶏業に挑んだあれこれ(かなり印象深い)
母親が精神病院に入院し、病院で出会った男性患者、入院している少女の母親との会話のシーン。そして終盤、しにゆく母親に看護人がジュースを口に垂らすシーン、最後の杭が連なる海辺のシーン。
頭の中に自分の中で映像が浮かんでくる。
今日観た映画「トイレット」は中々良かった。こちらも大きな意味で家族がテーマ。もたいまさこさんの魅力が半端ない。
新潮の日記リレー、今日は9月の日記
9月2日〜9月8日 多和田葉子
9月9日〜9月15日 いしいしんじ
9月16日〜9月22日 金原ひとみ
9月23日〜9月29日 池田亮司
多和田さん、石井さんの日記が良かった。
「持っていた日本製の小さな折りたたみ傘をさそうとするが、風が強いのですぐにおちょこになってしまう「おちょこ」という日本語がとても懐かしい」9月5日 多和田葉子
「ああ本屋さんの店内というのはいいものだなあ、と改めて思う。特に買いたい本はなくても背表紙を目で追いながら蟹のように横歩きをし、新刊書を手にとって眺めているだけで気持ちが高揚する。」9月7日 多和田葉子
「6時起き、小4のひとひの音読する「ごんぎつね」に鳥肌ばさばさ。」9月9日 いしいしんじ
「レコードも本も、そのときがくれば必ずむこうからこちらへとやってくる。」9月15日 いしいしんじ
*映画
トイレット
*読了本
安岡章太郎「海辺の光景」
*読んでいた本
岸政彦 柴崎友香「大阪」
新潮3月号
※聴いていた音楽
スワヴェク・ヤスクウケ「ミュージック・オン・キャンバス」
スワヴェク・ヤスクウケの「ミュージック・オン・キャンバス」をApple Musicで
Tim Bowness「Late Night Laments」
Tim Bownessの「Late Night Laments (Bonus Tracks Edition)」をApple Musicで