戯言スクラップブック

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レイモンドカーヴァー「ビギナーズ (村上春樹翻訳ライブラリー)」

『愛について語るときに我々の語ること』は編集者が原稿を大胆に改変した作品集だった―。完全オリジナル原稿発掘により、本来の姿を復元。背景を詳しく解説する訳者あとがきと資料も収録。素朴にしてふくよか、胸を打つ17篇。

と言う事で、作者本人が本当の意味で書いたものがこのビギナーズなんだと思う。「愛について語るときに我々の語ること」を読んだのか記憶が定かじゃないけどここに入ってる数編は知っていた。でも全然読んだ記憶のないものもある。

 少し前に、2週間くらい前に読んだのだけど本当に物凄くショックで、もう本当にトラウマになるくらいショックで恐かった。「出かけるって女たちに言ってくるよ」という短編がそれで、人ってこんな風に人を殺してしまうんだと思った。抑圧された何かが身体の中にたまっていってると言うのは「悪人」の主人公と同じなのかもしれないけど彼には孤独感や寂しさと言うものがないような気がするし(ある意味幸せな家庭生活を送っている)、暴力の力、狂気を感じてしまう。生活してる日々の小さな苛立ちや、疲れや、行き先が見えないものや、そんなものが形をかえてしまったのか。
 女の子を暴行して殺していく場面があまりにもショックでしんどかった。しばらくそのことばかり考えてしまった。どうしてこんなもの書いたんだろうと思ったけれど、たぶん書かなきゃいけない何かが、この時期のカーヴァーの中にあったんだろう。そして他の短編にもどこかに死の影が漂っていたりするし、願わない方へ流れていってしまうものがあったりする(無力感、諦め)
 

ビギナーズ (村上春樹翻訳ライブラリー)

ビギナーズ (村上春樹翻訳ライブラリー)