戯言スクラップブック

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加藤典洋 「村上春樹は、むずかしい」

普段、村上春樹に関する批評とか解説本は読まないんだけど以前に著者の「村上春樹の短編を英語で読む」がとても面白かったので今回も手に取ってみた。

この本がめざすのは、村上春樹の文学的達成の実質を計量することである。

とはじめにの初っ端に書かれている。文学的達成とか計量とか普段意識せずに読んでいたけれど村上作品を3期に分けてその変遷が語られていてなるほどと思った。流れのようなものと言うかなんと言うか。

特に阪神淡路大震災地下鉄サリン事件を経てからの作品カフカからの後期作品を論じた所はなるほどと思った。

サリン被害者へのインタビューでは彼の小説に登場する人物にその市井の市民、一般の人々が登場するのははっきりとした変化だ。
そして最後の方はこの時代と向き合う「大きな主題」的な作品への期待で終わっている。

個人的にはカフカ以降の村上作品の長編が違和感があってあんまり好きではない。あんまり好きではないのはどうしてなのか?そこははっきりと分からない。短編やエッセイは好きなんだけど。