ジョイス「ダブリンの市民」

 桜庭一樹さんがとある番組で紹介していたので読んでみようと思い読んでみた。もっと難しい感じなのかと思ったら短編ばかりでけっこうするすると読めた。暗鬱な何かがずっとのしかかっているような感じなのにどこかに滑稽というのか可笑しみがあるところが良かった。その可笑しみ見たいな物はこうやって外側から見てるから思うことでここに出てくる人々にとっては可笑しみでもなんでもないと思うけれども・・・・。変態おじいさんが出てくる「出遭い」は可笑しかったな。ちょっとした少年達の冒険談でもあるんだけれど。
 なかなか理解出来なっかったのは宗教的な部分と政治的な部分。アイルランドについて何も知らないのでその時代の状況がわからなかった。でもそういう状況が重苦しくそこに生きる人々にのしかかっているんだなとは感じられた。ダブリンから逃れようとしても逃れられなかった「イーヴリン」とか・・・・。そんななかでも「下宿屋」や「母」に出てくる母親はたくましい。
 最後の「死者たち」の主人公があれやこれやにふりまわされ傷つけられ、なんだか駄目な感じなんだけどそれが良かった。こういう気持ちにさせられること・・・・時に自分がこうだと思っていたものが覆される・・・そういう瞬間・・・・。
 

彼の魂はゆっくりと知覚を失っていった。雪が宇宙にかすかに降っている音が聞こえる。最後の時の到来のように、生者たちと死者たちすべての上に降っている。かすかな音が聞こえる。


 

ダブリンの市民 (岩波文庫)

ダブリンの市民 (岩波文庫)