堀江敏幸「未見坂」

 堀江さんの新しい短編集。この間まで読んでいた橋本治の世界とがらりと空気が入れ替わる。すっと澄んだ感じに、そうして出てくる人たちが優しみを持っている。それから物が存在感をもっていて生きていたり、幼い子どもからの視界だったり。落ち着いていたり、ひゅっとしていたり。堀江さんの文章を読んでいるとなにか豊かな豊潤なものをもらっているような気がする。描かれている世界は些細な世界だったりするのに。だけどどこか懐かしい。色んなその瞬間の風景が切り取られて自分の中にしまいこまれる。
 ああ、いいなと思う。

未見坂

未見坂