十夜
2008年1冊目。作家さんたちが短編を選んでその作品と選者のエッセー。ラインナップはこんな感じ
川端康成 「夏の靴」
エッセー 「異様に美しい白」 郄樹 のぶ子
志賀直哉 「剃刀」
エッセー 「読み手を圧迫する簡素な言葉」 角田 光代
伊坂幸太郎「イン」
エッセー 「短篇のはじまり―伊坂幸太郎氏の作品から」 伊集院 静
井伏鱒二 「鯉」
エッセー 「鯉について」 町田 康
内田百輭 「東京日記」(抄)
エッセー 「不思議の力」 黒井 千次
ジェームズ・サーバー「ウォルター・ミティの秘められた生活」
エッセー 「訳題と原題」 北村 薫
西田実・鳴海四郎訳
飯沢匡 「座頭H」
エッセー 「深層心理を尋ねて」 阿刀田 高
菊池寛 「入れ札」
エッセー 「風格を備えた、味わい深い傑作」 伊藤 桂一
サキ 「開いた窓」
エッセー 「洗練された教養と自虐的ユーモア」 恩田 陸
中村能三訳
野口冨士男 「相生橋煙雨」
エッセー 「霧の雨に開かれたまなざし」 堀江敏幸
それはもう選者を見て買ってしまったんだけど、エッセーよりもやっぱりその作品の方にうならされてしまった。「東京日記」は前にも読んでいたけれどやっぱり凄いなと思う。不思議で奇妙で幻想的でそして艶かしい。角田さんの選んだ志賀直哉の「剃刀」も良かったけれど堀江さんの選んだ「相生橋煙雨」が良かったな。これが短編と呼べるかどうかわからないけれど。作者のたたずむ風景みたいなものと若い版画家がたたずむ風景みたいなものが重なって見える。