ダニエルアラルコン「夜、僕らは輪になって歩く」

これは、かなり面白かったです。前に出ている同じ著者のクレストブックス「ロストシティレディオ」は未読なのでこれが初読み。著者はペルー生まれで3歳で渡米という経歴、物語の舞台もペルーと思われ、やはりなんとなく南米文学を思わせる部分あったり、訳者である、藤井光さんの解説に「野生の探偵たち」にヒントを得て書かれたとあり、ああなるほどと思った。

再結成された伝説の劇団に参加する事になった若者の軌跡を追っていく展開だけれども語り部の「僕」がいったい何者なのかわからないまま物語が進んでいく。はじめは普通に主人公であるネルソンの生い立ちや恋愛や劇団に参加するところなど物語のようにすすんでいくのだけれどだんだんとネルソンの周辺の人へのインタビューの言葉だとか僕自身の存在がだんだんとはっきりと大きくなって来る。そしてその言葉の中から不吉な行く末が推察されるようになってその予感を胸に持ちつつ物語を読むようになる。

夢と恋愛と身勝手さと、純粋な若者を主人公に感じたり、劇作家の獄中での恋愛や、主人公の彼女の失望感や、いろんな事を感じながら、ペルーの風景を想像しながら読むことができた。

旅の途中で主人公のネルソンは思わぬ災厄に合うのだけれど(彼には一切の責任もないのに)どんどんと飲み込まれていく。語り手の僕がどういう関わりの人物であるかわかってからの展開がすごい。

そして、自分の思っていた展開とまた違ってて、え!っとなった。(ネタバレになってしまうので詳しく書かないけれど)

最後の最後がまたものすごく考えさせられてしまった。純粋で思う方向にまっすぐに行動するネルソンの変化? 演じるもの、役者という言葉が浮かんだ。

夜、僕らは輪になって歩く (新潮クレスト・ブックス)

夜、僕らは輪になって歩く (新潮クレスト・ブックス)