吉行淳之介選「純愛小説名作選」

 古本市で100円で買った一冊。吉行淳之介選というのにも惹かれたし執筆者にも惹かれた。「純愛」と書かれているけれど、清らかな心打つようなそういう「純愛」ではない。けっこうどろどろしていたり、男女の駆け引きみたいなものがあったり、ずるさもあったり、でもそれも「純愛」と言えるのだろう。
 昭和54年発行だからか作品自体も昭和を感じさせるものが多い。中年の男性と水商売の女性とか・・・・・。今だとどうなんだろう・・・こういう感じの恋愛ってあるのかな?もっとあけっぴろげなような気もする。男性もずるいけど女の人もしたたかだ。
 この中で好きなのはやっぱり「心臓」小川国夫だ。二人の女の人の間で揺らめく感じ。空気や風や風景や香りや・・・・包まれながら読む感じ。やっぱり小川国夫好きだなあ。あと島尾敏雄もやっぱりいい。

 あまり好きじゃないと思ってあまり読んでいない三島由紀夫の「春子」が怪しくて面白かった。

 最後の対談はちょっとなあ・・・・やっぱり男の人の視点で語られていて反発を感じるところもある。吉行淳之介の小説は凄く好きなんだけど対談とかが苦手なのはこういう部分があるからかも。
 しかしこうやって見ると女性作家の作品が一つも入ってない、どういうこと?
で、女性作家の作品だけで「純愛小説名作選」を編むとするとどんな作品が入るだろう?と想像してみるのも楽しい。

「ロング・ロング・アゴウ」島尾敏雄/「初夜」三浦哲郎/「夏わかば野坂昭如/「葛の花」山口 瞳/「流木」庄野潤三/「胡桃」八木義徳/「おまんが紅」和田芳恵/「手品師」吉行淳之介/「心臓」小川国夫/「石楠花」立原正秋/「別れたのは、春」長部日出男/「魔子を待つ間」藤原審爾/「春子」三島由紀夫日本ペンクラブ編。(対談解説・長部日出雄吉行淳之介

純愛小説名作選 (集英社文庫 85-D)

純愛小説名作選 (集英社文庫 85-D)