戯言スクラップブック

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角田光代「菊葉荘の幽霊たち」読み終わり

 面白かった〜。半分くらいちびちび読んでて今日は残り半分を一気に読んだ。友人?恋人の吉元の家探しに付き合って彼が希望するアパートの住人を追い出そうと協力する主人公。この2人の関係もちょっと不思議だけど、住人の一人が通う大学に学生として忍び込みそのまま彼の部屋にいすわってしまう彼女も不思議だ、自分の部屋に戻った時によそよそしく感じてしまうほど。
 変な人ばかり出てくるんだけどその変なひとって確実に普通にいるんだと感じさせられる。人間なんて変な人ばかりなのに表向きで体裁を繕ってるんだよ、なんて思う。最後に出てくる宗教オタク(?)が圧巻(笑)だけど本当に怖いのはヤス子っていう一見普通のまじめな学生だろうな・・・・そして絶対こういう人はいるのだ。身近にいるんだし、どんな人の中にもヤス子の要素ってあるんだろうと思う。そしてどんよりと連なっていく空気の中に突然感情が噴出す場面とかがあってこれは文藝で言ってた「怒り」がベースにあるってことなのかな。理由もなく理由もなく苛立つことってある。なんでこんな怒ってたり泣き喚いたり、自分の感情コントロールできないんだろうと頭の片隅で冷静に考えているのに。
 姿を消した吉元はどこへいったんだろう?彼の幽霊姿は滑稽だな。
 居場所のない自分・・・・ここではない何処かへ・・・・空室であって空室でない部屋に吉元の持ち物でいっぱいになる前に戻ってくるのだろうか・・・・。

菊葉荘の幽霊たち (ハルキ文庫)