戯言スクラップブック

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ノマドランドを、観に行く

午前中友達がやっている美容院へ。結構言ってないなと思ったら2ヶ月半行ってなかった。前回は真冬だったし退院したばかりだったので友達がわざわざ送り迎えをしてくれた。今回は自分で車で出かけた。

去年の2月に地元の友達と山梨の温泉に旅行に行った思い出など話した。本当は常磐ハワイアンセンターに行く予定だったがちょうどコロナが広がりつつあって山梨なら近いしそんなに人もいないだろうからと変更になったのだ。信玄の隠し湯というところで冷たい温泉、岩のところに木の床が張られていてその隙間からお湯が(お湯と行っても冷たい)湧き出てくる。冷たくて冷たくてみんなでキャーキャー騒ぎながら入った。そしてなんとそこは混浴だったんだけど男女分けられていた時間帯があってその時間に入った。

そんな思いで話をしていたがもうそんな気楽な旅行は当分できそうもないねとしゅんとしてしまう。コロナが少し落ち着いている時なら家族で旅行というのもありだとは思うけれど友達グループとなるとハードル高いよねと。

 

ちょうど終わったのが11時だったのでノマドランドを観に隣の市の映画館へ出かけることにする。11時40分の回に間に合った。フランシス・マクドーマンドが好きで絶対観たいけどどうせ地方の田舎ではやらないだろうなと思ったいたので近くで上演されるのをしってめちゃくちゃ嬉しかった。東京に出れない今、とても観たい映画があってもレンタルか配信で観られるようになるまで間が空いてしまう。

 

少しずつネタバレになるかもしれません。

 

空いていた。10人くらいだったかな。割と年配の人が多かった。そりゃそうか、平日だもんなあ。きっと春休みの高校生や大学生はそんなに観ない映画なのかもしれない。何故なら映画に出てくる人達も中高年の人物が主だからだ。

 

企業の収益の都合で突然無くなってしまった街、夫を失った主人公のファーンの放浪の生活が描かれる。改造した車に寝泊まりして季節労働の場所を点々とする。そんなふうに生活するノマドの人々がいると言うことをこの映画で知るまで知らなかった。 とても理不尽で社会の歪みによって家を手放すことになってしまった人々。けれどそれだけではなくてその生き方を選んだ意志の強さも感じられる。人の生き方。そして生の終い方を深く考えさせられた。

美しい自然とともに描かれているのはノマドとして生きるファーンの日々の姿、車の中でもよおして下着を下げて便器に跨るシーンや、水辺で裸になって体を浸すシーン。マクドーマンドは、スリービルボードや、ドラマのオリーヴキタリッジの時とはまた違った静かで深く、孤独と悲しみを持ちながらも強い意志を持っている、そんな女性を演じていた。すごい演技だった。 何回か出てきたワンピース姿、スカート姿が素敵だなと思った。

 

夫と暮らしていたかつての街、家、を訪ねていくシーンが胸に迫った。ガレージに保存しておいた家財道具を処分仕切って彼女は車でまた出発する。行き先はどこなんだろう。

別れの挨拶は さようなら と またね とどちらなんだろう。

 

映画館を出て駐車場へ行き、車に乗り込んでしばらくエンジンもかけずぼんやりとしていた。気持ちのおさめどころが見つからず。

 

*映画

ノマドランド

黒猫白猫

 

*読んでいた本

穂村弘 「あの人と短歌」