夏目漱石「三四郎」
ここに三日これを読んでいた。実は読んだことがなかったのでした。NHKの特集で姜尚中さんが話していたり、この間読んだ茂木さんの本に出ていたり、なんとなく断片的に内容は知っていたりするけれど、断片的に知っているのと読むのとではやはりまったく違うと言うことがわかった。しかしあの鉄道自殺の場面があんなに早くに出てくるとは思わなかったな。
それから与次郎と言う人の調子のよさにどうもイライラとしてしまうのだけれど(こういう人に振り回されるのが本当に嫌だ)だけどこの人物がいないとこの小説は動いていかない。
美禰子は女の人から見るととても嫌な女だってどこかで読んだ覚えがあるけれど読んだ感じはそんなこともなかった。これってどうなんだろうか?一方的に三四郎が失恋したと言えるのだろうか?多分この2人が結びつくと言うのはきっとないと思う。何かしらお互いに感情を持っていたとしても。そうして美禰子は美しい、三四郎じゃなくても読んでいるこちらもつい美禰子にぼんやりとなってしまう・・・・自分が女であっても。美禰子と一緒の時の情景が本当に美しく書かれているから。漱石の文章にうっとりとしているのだろう。あと最後のほうの広田先生の夢の話もちょっとうっとりとしてしまった。これを今日昼間にベットに寝転がりながら読んだらいつの間にか眠ってて、眠りながらもああ、とてもとても気持ちいいなと思いながら毛布にくるまっていた。その小説の空気感で包まれていた。
解説で柄谷行人が書いているけれど「彼らは、初期の漱石が形成した言語空間においてのみ、活きつづけている。」本当にその言葉そのままにあの空間の中で活きつづけている気がする。
- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1948/10/27
- メディア: 文庫
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