レオニード・ツィプキン「バーデン・バーデンの夏」
ドストエフスキーに魅せられた主人公がドフトエフスキーの妻の日記を携えての旅。その私と日記の中?のドフトエフスキー夫妻の話が交わりあってどこまでも続いてゆく。―(ダッシュ)で繋がれて切れ目のない文章、ドフトエフスキー夫妻の話からいつの間にか現在の自分に話が移り変わったりしていて戸惑うがいっさい段落がないのでどこまでも読み進んでしまう。
実はドフトエフスキーの小説を1冊も読んだことがないので(「罪と罰」を5回くらい挫折した)もし読んでいたらもっとすっと入ってきたんじゃないかなと思うし、私の気持ちももっと身近に感じただろう。だけどドフトエフスキーについて詳しくないだけにこの一組の夫婦の事を生々しく感じたりする。急に怒り出して妻に当り散らしたかと思うとすぐにひざまづいてキスをし許しをこう夫。美術館の椅子に監視員の目を盗んで土足で登ったりする奇行。賭博にのめり込みどんどんとお金を持ち出していってしまう。どう考えてもひどすぎるし、絶対無理!とか思う。思うけれどこうやってぶつかり合った事ってないよな〜と思ったりする。感情をぶつけ合う事ってなかなか出来ないのだ。もしこの男が自分のパートナーだったらどうだろう・・・・大変すぎるけれど凄い濃い人生だろうな。
愛の交わりを何回も水泳に例えてるところがなんか面白かった。私のほうの物語に出てくるおばあさんも良かった。最後ドフトエフスキーが死に向かっていく場面が重苦しく迫ってきた。
- 作者: レオニードツィプキン,沼野恭子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/05
- メディア: 単行本
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