戯言スクラップブック

また日記を書き始めました。読んだ本や聴いた音楽など CD棚 https://kankoto.hatenadiary.jp/ 

野呂邦暢 「愛についてのデッサン」

 どなたかのブログを読んで発作的にアマゾンで頼んだ本。情けないけれど野呂邦暢という作家の方をまったく知らなかった。そしてこの作品は長い間絶版になっていたらしい。そしてみすず書房から復刊されたらしい。いい感じのブルーの表紙の装丁、みすず書房らしい美しさ。しかして中を読むと「野生時代」で連載され角川から単行本が出ていたというのもなにかうなずけたりする。あの時代の空気をこの作品はまとっている気がする。女の人の書かれ方が懐かしい。こういう感じだった、たしかにとか・・・・。そして主人公の佐古啓介の女の人に対する思いはとてもロマンチックだ。主人公の青年が古本屋を営んでいて、その古書などをとおして話が広がっていく。特に詩の世界〜。そしてミステリーの要素もあったりして面白かったです。ああ、こういう青年もあの頃はいたなあとか思うし。
 個人的には「愛についてのデッサン」がいちばん良かった。トンちゃんという女の子がとても印象的。

 真夜中のプラットホームの空気・・・・。

愛についてのデッサン――佐古啓介の旅 (大人の本棚)

愛についてのデッサン――佐古啓介の旅 (大人の本棚)