戯言スクラップブック

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戦後短編小説再発見11「事件の深層」

戦後短篇小説再発見 11 (講談社文芸文庫)

戦後短篇小説再発見 11 (講談社文芸文庫)

 この間吉祥寺の古本屋さんに友達といった時に買った1冊。もう自分家にある本がありすぎていったい戦後短編小説再発見がどのくらいそろっているのかが分からない。全部読んでたら分かるんだろうけど積読状態の物が多くて(汗)たぶんこれはもってないかなと思い購入。

武田泰淳「空間の犯罪」松本清張「火の記憶」三島由紀夫「復讐」椎名麟三「寒暖計」倉橋由美子「夏の終わり」
大岡昇平「焚火」野坂昭如童女入水」中上健次「ふたかみ」宮本輝「紫頭巾」藤沢周「ナンブ式」

武田泰淳「空間の犯罪」と藤沢周「ナンブ式」が良かった。はじめて武田泰淳を読んだけどこういう感じの物を書く人だったのか。ガスタンクの高さと登リつめた時の空気までもが感じられる文章。身体を刺す日の光。ちょっとクラクラした。
藤沢周「ナンブ式」はまあ藤沢さんの文章なんだけどその警官とのあまりの至近距離感に汗が吹き出る感じ。その時間の過ぎ様。やっぱ変態だわ〜と思った。

その他の短編も見事にその時代の空気感で満たされてるなと思った。やっぱりなにか昭和の空気。こういう犯罪というものも自分が生きている日常のずっと近くにあるんだなと思った。それは犯すほうと言う意味で。