堀江敏幸「河岸忘日抄」
この間東京から大阪に向かう昼間の長距離バスのなかでずっと読んでいた。少し眠っては読み、少し眠っては読み。そんなリズムがぴったりの本だった。堀江さんの文章が美しくて*〜*までの文章をじっくりと味わいながらゆっくり読む。目でおって頭の中で声に出してみて、ちょっとそれについて考えてみたりして。
物語の中に入れ子のように物語について書かれているのは堀江さんの特徴だろうか?それがお互いに繋がっていたりする。kの出てくる物語を読んでみたいな。牡蠣の出てくるチェーホフの短編集はこの間買ってしまった。
この本を開くたびに自分もこの話の主人公が住んでいる船のなかにいるような気持ちになる。対岸で演奏されているジャンベの音を聞いていたり郵便配達夫とお茶を飲んでいたりする。
静かで動かないようでいて時間は過ぎていく。じっと船の上で過ごす時間。考える時間。それが次に進むために必要な時間だったのだろうかと思う。次ってなんだろう?とふと思う。自分にも自分の次は見えない。
もう一度ゆっくり読みたい本。
- 作者: 堀江敏幸
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/04/25
- メディア: 文庫
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堀江さんの新潮文庫の表紙が素敵なんだけどはまぞう・・・・出ないのが残念。