北村薫 宮部みゆき編「名短編、ここにあり」「名短編、さらにあり」
本の目利き二人の議論沸騰し、迷い、悩み、選び抜かれたとっておきのお薦め短編
らしいです。続けて2冊読んだ。昭和な作家達のうまさにうならされてばかりだった。大好きな百輭先生や吉行淳の之介の作品もあったり、今まで名前は知っていても作品を読んだことなかった作家や。抱いていたイメージと違っていた作品、へんちくりんな山口瞳の「穴」とか、こ、、、、怖いよな吉屋信子の「鬼火」とか。
特にすごいなと思ったのが吉村昭「少女架刑」と林芙美子「骨」だった。共通するのは貧困ということだろう。貧しいと言うことはなんて悲しいことなんだろう・・・・・。そこに何時なんどき引き込まれてしまうかも知れないという恐怖・・・・。堕ちていく・・・・・そしてもう上に登ることの出来ない悲しみ。希望のない生活・・・・。希望がなくても生きていかなければならない悲しみ。死んでなお体を切り取られていく少女。静かに心は目覚めている。心は周りを見つめている。
林芙美子「骨」を読んで思い切り頭を殴られたような気持ちだった。二三日頭の中がいっぱいになってしまった。胸が苦しくなった。こういう現実が何時自分に起きないともかぎらない。
道子にとって死は他愛のないものであり、馬鹿馬鹿しくさえあった。ほろびるものはずんずん無力のままこの世から消えていくのだ。それしか自分達のような人間の解決の道はない。
それにしても林芙美子ってこんなものを書くなんて本当に凄いと思った。それからこの2作は骨でつながっている。

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