松浦理英子「犬身」
近所の本屋さんで見つけて松浦理英子さんか〜懐かしいな、読みたいなと思ったけれど2000円だったので躊躇したけれどやっぱり読みたいと思い買ってしまう。「親指Pの修行時代」は熱心に読んだなあ。断片しか記憶に残っていないけれど。
そして最初の部分を読んだらいきなり親指Pで味わったであろう感覚がよみがえってきた。それはどこかというと同僚の久喜の粉溜を絞る場面。うわあ・・・・と(苦手な感じ)そこがああ松浦さんだとか思った。それで物語が変体チックな世界(ちょっとどろどろした)世界に行くのかと思えばそうじゃなかった。まあどろどろしたところもあるけれど(近親相姦とか)これは犬になってまでひとりの人間に愛されたい愛したいと思う心の純愛のものがたりなのかなあと思った。だからぜんぜん嫌な感じはしなかった。そこが物足りないといえば物足りないんだけど・・・・。もっと朱尾という人物の異常さとか心内とかを突っ込んでほしかったな。この人物が一番面白いと思う。
彬と梓の兄弟の関係、そしてその母親との関係、終末はなんだか読んでいてこっけいだった。でも本当の人間の気持ちとか行動とかって案外こんな風にこっけいなものかもしれない。
この本が「週間ブックレビュー」で紹介されていて紹介者の中沢けいさんが男性人達に「でも男の人ってこの彬みたいな部分を持ってるでしょ」(なんでも自分の思い通りにならないと気がすまないような部分)と言ったらみんなしどろもどろに否定してたのが可笑しかった。特に司会の藤沢周さんのうろたえぶりが可笑しかったです。
犬になって好きな人に可愛がられたらそれは幸せなことなのかな・・・・。
- 作者: 松浦理英子
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/10/05
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- 作者: 角田光代
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- 作者: 梅原猛,中上健次
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