読みかけだった川上さんの新刊を京都行きの電車の中で読む。
どの人が主人公とも言えない色々重なりあった恋愛模様。よく考えてみるとけっこうドロドロした構図なのにちっともそんな風に感じさせない。そして前半とかかなりエロティックなのにそれもなんだかしんと静まった感覚。映像化したらかなりいやらしいはず(笑)
だけど人を好きになる事ってなんて頼りないんだろう…。揺れ動いてはいるけれどここにいる人達って激しい執着心みたいなものがない。流れにまかせてるって言うか…、ある種の諦めがかんじられる。好きじゃないって思ったらそんなに好きじゃなくなれるのもちょっとわかるけど(ああ…あの人の事好きだったなあと、好きだった自分を懐かしめる感じ)それも寂しくもあるよな…。
後半はけっこうドラマティックに話は展開していく。刃傷沙汰にまで。だけどやっぱりしんとしていたりする。
春名って女の人が「いやな女」でまわりにいたら絶対大嫌いなんだろうけど、その感情がわからなくもない。唯一恋愛に執着してるかのような彼女が最後にあっさりああなったのか、それは想像するしかないのかな。先日、角田さんの小説で読んだ世界とは真反対だなあと思う(愛がなんだ)どっちの感覚もわかるけれど。
川上さんの空気は凄く好きだ。夜の公園、ピンクのフラミンゴ、春名の手紙。

- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/04/22
- メディア: 単行本
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