角田光代「ぼくとネモ号と彼女たち」
角田さんの小説が好きだ、やっぱり。そしてどうもこういうロードムービー物に自分は弱いンだなって自覚した。
主人公はどこにでもいる俗っぽくて普通の男の子。スニーカーにこだわったりしてる所がかえってダサく思える。そんな彼が初めて手に入れた車にスニーカーやら兄の物であるレコードやらを積み込んで、好きでもない女の子を乗せてあてもなく車を走らせる所から始まる旅。
延々と自分語りをする女の子にうんざりする。そりゃうんざりするよな…と思いつつ、人間て自分語りが好きだよなとドキってする。ブログなんてその最たる物だと思うんですが…どうでしょう?でもさー女の子もちよっとしたたかさもあり、したたかさと言うかずるさ。そして男の子は冷たいよな〜この冷たさが若さだよな〜とか思いつつ読んでしまった。
二番目に乗せた女の子の求めてる物…自分の居場所?しかしこうやって険悪なムードになっていく空気とか描くのがうまいなあてつくづく思う。ラブホでお互いの髪を染めたり針でピアスの穴を開けたりする所、青春だなーと思った。スマパンとかペィブメントとかの文字が出てくる所もわくわくする。
ちょっと気になるのが兄の話。ひきこもってロックのアルバムばかり聞いてた兄が普通の働き人になってしまったという部分…。
最後に年上の季節労働者(女)を乗せるんだけどこの人がまたかっこいい。絶対なれないけどこういう女の人にあこがれる。
文庫本解説の豊田道倫さんの文章かまた素敵です。解説読んでぐっとくる事ってあんまりないけど今回ぐっときた。イベントの後に角田さん達と行ったカラオケ屋を抜け出して、一度寝た女の子に会いにいくくだりとか豊田さんだなーと思った。
- 作者: 角田光代
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/01/06
- メディア: 文庫
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