ラーナー・ダスグプタ 「ソロ 」

短編小説と長編小説どちらが好きかと聞かれたら断然短編小説のほうが好きだ。切り取られた感情や情景が鮮やかに自分の中に残るから。しかし、長編小説を読んだ後の満足感もやっぱりいいなあと思う。自分が気に入った作品を読んだ時に限られるけれど。今回読んだこの作品白水社のエクス・リブリスシリーズの1冊。図書館で見つけて読んでみようかなと思った。エクス・リブリスシリーズは新潮社のクレストシリーズとともに面白そうだなと思うと購入しているけれどたぶんこの作品は自分では買わなかったかもしれない。けれどもとても満足感を感じさせてくれた1冊になった。

ブルガリアのアパートの1室で死を迎えようとしている100歳の老人が思い返す日々。ブルガリアの歴史そのものに翻弄されながら果たせぬ夢に終わった音楽とそして化学。父とのこと、母親との生活、。
第一楽章「人生」と名付けられた前半はまさに彼の人生をずっと静かに追っていく物語。
第二楽章「白昼夢」は物語の主人公が若者3人に代わってスピード感のあるぐんぐんと読んでいる自分が連れていかれるようなきらびやかで美しい展開だった。才能とか強さとか弱さとか、気高さとか。物語が進むにつれて第一楽章とのつながりが表れてきたり、交わったり、そしてまさか?と思う展開になったり。

第二楽章として名付けられた「白昼夢」。はたしてこの意味するものは?これが老人の夢であるのかどうか、夢であるとするのはなんだかもったいない気もしてしまう。しかし過去の恋人と出会う場面の美しさ、もはやふたりとも生きてはいないのだ。

最後の別れの場面も美しかった。そしてこの物語を読み終えた。色んな印象的な場面が自分の中に残っている。(年老いた母親を連れだしたときのこと、団地で知り合った女性との何気ない一日)そんな一コマ一コマが美しい。

やっぱりエクス・リブリスシリーズは読まなくっちゃ!

ソロ (エクス・リブリス)

ソロ (エクス・リブリス)