[本棚] カレン・ラッセル 「レモン畑の吸血鬼」

熟年吸血鬼夫婦の倦怠期、馬に転生した歴代大統領、お国のために蚕に変えられた女工たち…現代アメリカ文学最前線の女性作家、待望の第二短編集!最高の想像力で描く、最高に切ない8つのトワイライト・ゾーン

カレン・ラッセルは初読み。表題作と次の話を読んでゴシックホラーの作家?と思ったけど全然違った。色々と時代や設定が様々バラエティに富んでいて面白かった。一番衝撃的だったのは「お国のための糸繰り」でこれは製糸工場で働かされる女工さんの話でもちろん舞台は日本なのだけれどその働かされ方が 普通ではなくてそこにオカルトめいた感じもあるんだけれど物凄く幻想的で美しい。頭の中で映像を描きながらずっと読んでいた。これを本当に美しい映像に誰かしてくれないかな。

他にも歴代のアメリカ大統領が馬に転生する話など面白かったけれど「帰還兵」は凄かったです。イラク帰りの帰還兵が治療のために女性マッサージ士の元に訪れる。彼の背中に刻まれたタトウ。彼の恐れや苦しみが彼女の指先に伝わって入り込んでくる。
この帰還兵を読んでいてこの話にどっぷり取り込まれてしまってトリップしてしまった。これは久々だった(普通に感動したりとかはあるけれど)のでこの話を読み終わってしばらく動けず部屋の中でぼーっとしてしまった。あの久しぶりに再会する雪の日のシーンが好き。

どの物語も風変わりなんだけれどなんていうのか社会風刺が効いていてそこも素晴らしいなと思った。変わっていて面白いだけの物語ではない部分。

レモン畑の吸血鬼

レモン畑の吸血鬼