ラジスラフ・フクス「火葬人」

この間の豊崎さんと海猫沢さんのイヤガイブン「読後嫌な気分になる外国文学」で紹介されていて購入した一冊。

人が生きていく自分自身の拠り所みたいな物がいかに脆いものかを思わされた。ひとつの思いに囚われすぎてもならないし、周りに影響を受けて流されてもならないし。そしてこの小説の主人公コップフルキングル氏は自身が自覚しないままに思想がすりかわってしまった。そしてその思想は愛よりも彼にとっては正義だった。こういう事は足をすくわれるように誰にでもおこりえる事なのだ。


最後の悲劇にはぞっとさせられたし、それを頭がおかしいからと決めつけられない弱さが自分にもあるんじゃないのかな。
戦争と言うものもそうだし、オウム事件や、いじめなどもそうだろう。


少し見方を変えるとミステリーぽくもありオカルトっぽくもある。色んな不気味な人物、品物。「火葬人」というタイトルも後でああだからなのかと繋がる。

ひっかかったのは主人公が愛読していたチベット密教ダライラマの部分。この物語の中でどういう風に読み取ればよいのだろう。そして最後の所はもしかして幻想、なのだろうか?

火葬人 (東欧の想像力)

火葬人 (東欧の想像力)