金子光晴「西ひがし」

「どくろ杯」 「ねむれ巴里」と続けて読んできてやっと先日読み終わった。なんだかこの夏は金子光晴しか読んでない気がする。

中でもこの「西ひがし」が一番好きだ。ますます深まっている。これが晩年に老人である金子光晴によって描かれたことにまた驚く。何十年もたってから若き日々の事をこんな風に詳細に生々しく書く事に。
いや、もしかしたらそうだからこその文章なのだろうか?

それぞれの都市の風景やにおいまでも伝わってくるけれどそれは多分今現在のその都市にはないものだろう。

そして自身のいやらしさや姑息さなど、飾りを取った人間。

三千代夫人との関係は独特できっとふたりにしかわからない世界でもあるんだろう。
そして最後がその三千代夫人の手紙で締めくくられていたのも印象的だった。

西ひがし (中公文庫)

西ひがし (中公文庫)