王寺書房のおじさん

 お店は元旦以外営業しているけれど自分は今日が今年の仕事納めだった。仕事始めは4日。 

 先日本の整理をしていて自分で本を買いだした頃の文庫本なんかが出てきて懐かしく思った。講談社文庫の葉っぱがついてるやつとか。そしてふと中学生から高校生、短大生くらいまでよく行ってた本屋さんのことをふと思い出した。街にはもう一軒上田書店と言う本屋さんもあった気がするけれど自分がよく行ってたのは商店街の端っこにあったこの本屋さんだった。店内に入ったときの静けさがすーっと蘇ってきた。そしていつもレジのところで座っていたあの静かなおじさんも。
 高校生になってからキーボードマガジン(だったかな)を定期購読してしていたのだけれどいつも受け取りに行くと奥からだしてきてくれたなあ・・・・なんてぼんやりと思い出した。少ないお小遣いでどの文庫本を買おうか棚を眺めながら随分時間を過ごした気がする。あの頃はやっていた星新一北杜夫を最初は買っていた気がする、そしてそのうち五木寛之にはまったんだった。あんなに読んだはずなのに全然覚えてないのは何だろう(笑)ただ五木寛之がメロンパンが好きでそれをどこかに書いたら物凄いたくさん読者からメロンパンが送られてきて困ったと言う事くらいしか思い出せない。その後遠藤周作なんかにはまったんだった。一冊ずつ増えていく文庫本をうっとりしながら眺めていたような気がする。

 もしかしてあの本屋さんがなかったら自分は本好き、本屋さん好きにはなってなかったかもしれないなと思ったりする。はたして王寺書房は今でもあるのだろうか・・・・・。
 でも自分の中のどこかで存在していた事がとても嬉しい。ガラガラとガラスの引き戸を開けてあの空気、あの静けさ、そしてあのおじさんに会えることが。