佐野洋子「役にたたない日々」

 先月亡くなられた佐野洋子さんのエッセイ、文庫本になったので読んだ。本屋さんでは追悼コーナーが出来ていたりしますね。
 佐野洋子さんのエッセイは数冊読んでいたけれどその強い個性にちょっと自分とは違うものを感じる部分もあったりして大好きかといえばそうじゃない部分もあったりした。絵本で親しんでいた人の生の声に接してとまどう感じもあったのかもしれない。「役にたたない日々」の中にもぐいぐいと彼女の言葉が発せられていてもう圧倒的で少しだけヘトヘトになったりする。
 しかし、嘘みたいなものが一切ない文章。きれいに飾ったところのない言葉、そこに真の姿が見えてきてそこに惹かれるとともに自分の姿を省みる事になってしまう。とても強くて自由。60代の女の人の生の声。自分が60代になった時にこんな風に自由に強い気持ちである意味きままに生活できるだろうか。
 色々と考えさせられてしまった。彼女が亡くなったと言うニュースを知った時、ああ、人は死んでいくんだなと思った。それは静かな気持ちでそういう風に思ったのは初めてのことだったかもしれない。

 最後にニコニコ堂という人が出てきてもしや?と思ったら長嶋有さんのお父さんだった。お父さんもいい味だしている。

役にたたない日々 (朝日文庫)

役にたたない日々 (朝日文庫)