木村俊介「変人 埴谷雄高の肖像」

 立花隆ゼミの一員だった著者が埴谷雄高にかかわりがあった人たちに行ったインタビュー集。昔、短大の図書館で「死霊」の背表紙をよく見かけた気がする。ひきつけられる様ででも手に取ることが出来ないような空気感を放っていた。
 この本を買ったのはインタビューした人の中に武田花さんや小川国夫、小島信夫などがいたから。しかし近所のかたやお手伝いさん(最後を介護された)、それから行きつけのコーヒー店の方などのインタビューもあって市井の人である埴谷雄高も浮かび上がってくる。そこが面白かった。
 それぞれの人物によって埴谷雄高の文学的なことや思想の事、生き方などが語られ、著作を読んだことのない自分でもこういう人なのかと想像させられる。でも面白かったのは埴谷雄高のことを語りながらその語っている人の言葉からその人自身が垣間見える部分。そのようなことを著者自身もあとがきで書かれていたような気がする。
 


変人 埴谷雄高の肖像 (文春文庫)

変人 埴谷雄高の肖像 (文春文庫)