リース「サルガッソーの広い海」

池澤夏樹個人編集世界文学全集、この間読んだウルフの灯台へと一緒に収められている作品。
灯台へ」に比べるとずっと読みやすかったけれどどちらが理解できたかと言うとこちらは全然理解できてないんだろうなと思った。池澤さんの解説や、月報を読んで初めてその背景や作家の書きたかった事がおぼろげながらわかる感じ。
主人公の生きている場所、主人公のその独特の階級、立場、植民地下に白人として生まれたが奴隷制度廃止下の中での立場とか…今の日本に生きている自分には到底理解しえないものがある。
その立場が一章に出てくる奴隷たちによる焼き討ちと言う場面でみせつけられるんだけれど、ここはいきなりショッキングだった。
だけどこの小説の舞台である島はとても美しく描かれていて想像するのが楽しかった。ニ章での新婚のふたりの濃密なシーン…
しかし、愛情があって結び付いたんでは無いとは言え、お互いの生きてきた環境、背負っているものが違うとは言え、それをお互いがいたわりあうという事にどうしていかないんだろうか…
まあ、そんな事を思ってもそれが人間と言うものだよなあ…どんどん悪い方向に進んでしまったりする。
そして作者が書きたかったのもきっとささえあってなどと言う物語ではなかったのだ。
最後の三章はとても幻想的で美しい。隔離されてしまった彼女の頭のなかと現実がまざりあって最後はちょっとこちらもその世界のなかに惑わされてしまった。
ジェイン・エア」は読んだ事がないんだけどこれを読んだ事によってきっと先に「ジェイン・エア」を読んだ人とは違う思いで読むんじゃないかなと思った。