坪内祐三「考える人」

 ウルフの灯台への合間に読んでいて結局こちらを先に呼んでしまった。雑誌「考える人」に連載されたもの。坪内さんの考える考える人たち。その考える人と言う視点で語ることがなかなか難しいと何回も書かれている。視点を変えてその人物を語ると言うのはやはり難しいのだろう。

 この中には知ってる人物、私も好きな人物。名前だけしか知らない人物。まったく知らない人物、16名が語られている。とても興味深かったし面白かった。田中小実昌など持っていた印象とはまた別の感じの人なんだなと思った。吉行淳之介は彼の章ではなくて須賀敦子が彼の小説の部分を語ってるところがとても印象に残った。
 一番印象深かったのは植草甚一の章。植草甚一が池尻でバスを降りて歩く所。なにかその風景を思い浮かべてしまう。そしてそのところの坪内さんの文章も素晴らしかった。

自分が生まれ育ち暮らしている東京が「無生物的な風景」にどんどん変わって行くことに気がついています。そのことを寂しく思っています。
 しかしかれはまったくのノスタルジーには逃げません。
 一瞬呆然としたあと、その新しく変わって行く、街で、新しい楽しみを見つけるべく散歩を続けます。そういう植草甚一が私の役に立つのです。つまり、私はそういう植草甚一に勇気づけられるのです。


また是非読み返してみたい。


考える人 (新潮文庫)

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