引き続き寒い。一日仕事。寒いと機材の調子が悪い、十分に温まるまでご機嫌ななめ。

 さっき芥川賞の候補作を読み終える。なんとか発表までに間に合った(笑)ちょこっとづつ感想を、ちなみに読んだ順。

津村記久子『ポトスライムの舟』「群像」11月号

 ずっと神西さんの本を読んでいてそのあとすぐに読んだので読むスピードと言うのか流れる時間と言うのかさらさらと流れていってとても読みやすいなあ〜と思ってしまった。津村さんの小説を読むのは初めてでちょっと興味があったけれど実際読んでみたら凄くいいなと思った。一場面一場面自分の頭の中に風景が浮かんできてそれが凄く良かった。一番印象的なのは雨が降っていて友達の子どもと二人きりでポトスをコップにつぎつぎ差していき廊下にずらりと並べるところ。舞台が奈良なのでやっぱり奈良っていいよな〜とまた奈良に住みたくなってしまった。
 他にも色々印象深いところはあるんだけれどこういう事ってあるよな〜とかこういう事って考えるよなって思わせる部分があってでもなにかふーっと明るんでいる。

田中慎弥『神様のいない日本シリーズ』「文學界」10月号

 こういう事を閉じこもってる息子に延々と語りかけるものだろうか???と始終???な感じだった。去ってしまった自分の父親がいつか現われるという希望?奇跡?を野球とベケットとにからめて?でもなにかこれは感動しなくちゃいけない話なのか?とか思ったら豊崎社長がメッタ斬りでひとり語りの妄想とだと言っていたのでちょっとびっくりしてしまった。そうなのか・・・・まだまだ読みが甘い自分?

山崎ナオコーラ『手』「文學界」12月号

 ナオコーラさんはちょっと好きです。これを読んでいて、自分はこういう風に男の人と付き合うことは到底出来ないんだけどもしやあの人はこういう感じで男の人といるのか〜と思われる人がいてはたと思ってしまった。案外こういう風に男の人と付き合ってる人って多いのかもしれない。ここに出てくる人は誰かに何かを求めてるのに繋がりきれない繋がることは拒否してしまっているのかもしれない。そして主人公はただただ父親に自分と言う存在を認めて欲しいんじゃないのかなと思った。

父親に対して「死ね」と思ってる自分がいる。この気持ちは四十になっても変わらないだろう。自立したいのとは違う。ただ、父親というものが嫌いなのだ。

ここを読んだ時にドキッとした。


★墨谷渉『潰玉』「文學界」12月号

 この人の作品を前にも読んだことがあるけれどこういう世界はやっぱり苦手で自分にはちょっといいかな・・・と思ってしまった。

鹿島田真希『女の庭』「文藝」秋号

 主人公の主婦はちょっとどこか狂っているんだろうけれど案外そんなおかしな事を人間て頭の中で日常考えていたりするんじゃないのだろうか。主婦という存在は実体があるようでいてなく拠り所もどこにもないと思うことがあるものだ。どんどん最後にむかって頭の中のひとり語り(それこそ)がぐらぐらと濃くなっていくところがすごいなあと思った。

★吉原清隆『不正な処理』「すばる」12月号

 ストーリー的にすごく面白いなあと思ったし、途中まではなにか男の子同士のある種爽やかな気持ちのつながりを感じたりしていたのに急にこの展開にちょっと拍子抜けと言うのかがっかりというのか・・・・。でも話としては良く出来ているのかな最後なにかブラックな感じでもあるし(なるほどねという・・・・)途中でそう持っていかなくては別にどうという話にもならなかったのかもしれないけど、そのままでもいいやんと思ってしまいました。

 読んでいてやっぱり津村記久子『ポトスライムの舟』がとてもよかったので津村さんが受賞されるといいな。