「新・ちくま文学の森 どこか遠くへ」

 短編小説がのっているアンソロジーみたいな本を最近読んでるけれどとても楽しい。それでふと思いついて家にある「ちくま文学の森」を引っ張り出してきた。読んだ巻もあるけれど読んでない巻もあってこれは読んでない巻。

 良かったのは

武田百合子「日日雑記」
辻まこと「秋の彷徨」
金子光晴「爪哇」
オコナー「黒んぼの人形」
原民喜「心願の国」

凄いなと思う短編を読むとしばらく頭がぼーっとして次を読むことが出来なかった。特にオコナーと原民喜のは読んだことがなかったのでもう、しばらく本をとじでじーっとしていた。オコナーのほうはちょっとやっぱり宗教的なものを感じた。原民喜はぱっぱっと状況と感情が流れていってでもそのひとひとつに連れて行かれる。経歴を先に読んでしまったのでなおさらだった。

 去年、遠藤周作がフランスへ旅立った時の情景を僕は憶いだします。マルセイユ号の甲板から彼はこちらを見下ろしていました。桟橋の方で僕と鈴木重雄と冗談を云いながら、出帆前のざわめく甲板を見上げていたのです。と、僕にはどうも遠藤がこちら側にいて、やはり僕たちと同じように甲板を見上げているような気がしたものです。
 では御元気で・・・・・。


どこか遠くへ (新・ちくま文学の森)

どこか遠くへ (新・ちくま文学の森)