桜庭一樹「私の男」
昨日今日二日間かけて読んだ。
ダーク
ダークでしんどかったなあ・・・・。第一章では腐野淳悟という男の立ち上ってくるような色気とかどうしようもなさとかに魅了される。そして黒い影みたいなものとか・・・・。
物語は章が進むにつれて過去にさかのぼって行くんだけどそういう腐野淳悟の魅力的なものからもうぜんぜん離れてしまって物語の大きな波に飲み込まれてしまうような感覚に陥る。理解できるのかと言われたら出来ないのかな?でもこういう状況の二人になってしまうとこういうこともあるのかな?自分がその女の子だったら父親のその悲しみを受け入れてしまうんだろうか?
この間読んだ「また会う日まで」もそうだけど失った肉親に対する思いとか、血のつながりとか、家族とかそんなものを考えさせられる小説だったりした。どうしてそんなにこだわるのかな?と思ったけれどそれは自分が平凡な幸福な家庭で育ったからなのかもしれない。きっと物語の人たちは無くした家族=自分の中の無くした部分なのだ。だからそれを捜し求めるのだ。
だけどやはり腐野淳悟と言う男は罪人だと思った。こういう関係にならなくても家族になれるじゃないかと思った。あとずっと二人で離れないと言っていた二人が離れていくのはどうしてなんだろうとかも思った。人知れず二人きりでそのアパートで年老いていくことだって出来たのに。
流氷に乗って流されていったおじいさんはまっ平に清潔だけどその衣の下にものすごくいやらしいものを隠してると思った。
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/10/30
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 442回
- この商品を含むブログ (447件) を見る