川上弘美「大好きな本」

 こういう書評が好きだ。ぱらぱらと読みながら、ああこれも面白そう、これも読みたいと思ってわくわくする。それが好きな作家さんが書いた書評ならなおさら。川上さんがどんな本をどんな風に紹介してくれるのかうきうきしながら一遍ずつ読む。前半は新聞に書かれた書評、後半は文庫本などの解説。新聞の書評は字数が限られているのか短い。だけれども文庫本の解説よりもなぜか面白かったりした。そんなことはないだろうけれど仕事として書かれたような気分がしてしまう。いや、新聞の書評の方が「仕事」なのかな?でもこちらのほうが自由な感じがするんだけど・・・・。

 この川上さんの書評は全部ほめてばかりいる。悪く書かれた本がない。だから「大好きな本」という題名なのかな。きれいに読もうと思ったけれど、ああこの話読みたい!とついついページを折って記しをつけてしまった。

 一番素敵だったのは221ページの書評。川上さんが中央線で新宿から東京までの間、ひとつの文章を読んでいるときに感じた時間の流れ。時間がのびたりとまったり

文章の中の時間に、からだが沿ってしまっていた。

 本当に本を読んでいるとこういうことが起こる。

大好きな本 川上弘美書評集

大好きな本 川上弘美書評集