川上弘美「真鶴」
昨日からちょっと読み始めてて、今日帰ってから勉強の前に数ページ読もうかな・・・・と思ったらやめられなくなった。どっとその世界にひっぱりこまれてしまった。そうして読んだあとは呆然としてなかなか現実世界に戻れなかったりした。時々そんな小説に会う。その感覚は不思議。たんに感動の度合いとは全く違うし、これは素晴らしい小説だなと思わせられるものがそうかと言えばそうでもない。前に一回角田さんの短編読んでそんな感覚に陥ったことがあった。そのときは何日もその世界の感覚から抜け出せなくなった。今回も2,3日駄目かも。2,3日研修なんだけどな(汗)
どんどん幻想的な展開になっていって幻と現実の間際で気持ちがあっちに傾いたり、こちら側に傾いたり。川上さんがすきな内田百けんの世界も思い出したり。人を思うことの深さの業、だけど離れていくこと・・・・・。人間の感情は不思議だな。真鶴の現実の風景も、幻想の風景も物凄く良くてその異次元に引っ張り込まれたのかもしれない。祭りのところと終わり近くの鷺が空を飛び何回も繰り返される場面。朽ちた家や・・・・・。
主人公には常に女の人がついてるし。あの女の人の存在はなんだろう・・・・最初は失踪した夫の愛人なのかと思ったけれどそうじゃない。最後には同士のようになっている。まるで主人公の前世の自分のようだ。
個人的に身につまされる部分があって、その感覚が痛いほどわかった。
- 作者: 川上弘美
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/10
- メディア: 単行本
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